自宅での学習を出席扱いにしてほしいと学校に相談すると、学習の計画を聞かれることがあります。出席扱いの要件の一つが、「計画的な学習プログラム」だからです。自宅でICT(パソコンやタブレット、インターネットなど)等を使って学ぶ場合の要件です。
この記事では、学習計画に書くことと、小学生・中学生の1週間の例を紹介します。学校と共有するときのポイントと、見直し方もまとめました。記事の最後に、コピーして使える計画表のテンプレートがあります。
計画を立てれば必ず出席扱いになる、というものではありません。出席扱いにするかどうかを判断するのは、学校(校長)です。計画は、学校と家庭が同じ見通しを持つための材料の一つです。
計画が求められる理由(要件4)
文部科学省の通知の別記2は、自宅でICT等を使った学習を出席扱いとする要件を7つ挙げています。その4つ目が、次の要件です。
学習活動は、当該児童生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること。
「当該児童生徒」は、その子ども本人のことです。令和8年4月の保護者等向けリーフレットでも、同じ文言が出席扱いの主な要件の一つとして載っています。7つの要件の全体は、出席扱いの7つの要件で説明しています。
この要件のポイントは、「本人の理解の程度をふまえていること」と「計画的であること」の2つです。今の学年の内容だけでなく、お子さんが今どこまで分かっているかを出発点にします。
月ごと・学期ごとの計画が土台になります
どんな計画が望ましいかは、別記2の別紙(Q&A)に書かれています。要点は、在籍校の年間指導計画に沿った、月ごとや学期ごとの計画です。民間の教材なら、決められた学習プログラムを使ってもかまいません。詳しくは要件の解説の中でふれています。年間指導計画とは、学校が教科ごとに、1年間で何をいつ学ぶかを決めた計画です。
つまり、学校と共有する計画の単位は、1か月や1学期が基本です。この記事の1週間の例は、月の計画を毎日の生活に落としこむためのものです。
成績評価に反映する場合は、もう一つ確認があります。学校が、学習の計画・内容が在籍校の教育課程に照らして適切かを確かめます(令和6年8月の成績評価の通知)。教育課程とは、学校が学年ごとに定めている、学習の内容と計画のことです。
計画がはっきりしないと、学校も判断しにくくなります
別記2の別紙には、出席扱いとしなかった例も載っています。その一つは、無料のインターネット学習プログラムで、学習の「ねらいや内容が明確でなかった」例です。
自治体のガイドラインにも、計画についての記述があります。例えば熊本市のガイドラインでは、学校が民間業者のICT教材について情報を集めるとしています。計画的な学習プログラムかどうかを判断するために、どのような学習活動を提供しているかを問い合わせる、などです。これは熊本市の例ですが、使っている教材の中身を学校に説明できるようにしておくと安心です。
計画は、学校と一緒につくるものです
文部科学省の学校・教育委員会等向けリーフレットには、出席扱いとした例が載っています。学校からの授業配信の例では、学校が保護者と連携して、1人1台端末を使った学習計画をつくっています。教育支援センターの例では、センターが学校と保護者との連携のもとで、Web教材を使った学習計画をつくっています。教育支援センターは、教育委員会などが設ける、不登校の子どものための学びと相談の場です。
どちらの例でも、学校は学習計画の実施状況などをもとに、出席扱いとしています。保護者だけで完璧な計画をつくる必要はありません。家庭でたたき台をつくり、学校と相談しながら仕上げる形が現実的です。
計画に書くこと
文部科学省の通知やリーフレットには、学習計画の決まった様式は示されていません。学校や教育委員会に様式があれば、それに合わせます。ない場合は、次の項目を入れておくと学校に伝わりやすくなります。これは、この記事でのおすすめです。
| 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 期間 | 何月の計画か、どの学期の計画か | 10月(10月1日〜31日) |
| ねらい | この期間に目指すこと。1〜2つ | かけ算の筆算ができるようになる |
| 教科ごとの内容 | 教材名と単元、どこまで進むか | 算数:タブレット教材で「かけ算の筆算」 |
| 1週間の流れ | 学習する曜日と時間帯、休みの日 | 平日の午前に2つずつ。水曜は休み |
| 学校との関わり | 家庭訪問や面談の予定 | 第2・第4金曜に担任の家庭訪問 |
| 記録と報告 | 記録のつけ方と、報告の頻度・方法 | 毎日ノートに記録。月末に報告書を出す |
| 見直し | いつ、誰と見直すか | 毎週末に親子で。月末に学校と |
単元とは、教科書の章のような学習のまとまりです。家庭訪問など、先生などが子どもと直接会う機会は、要件3の「対面指導」にかかわります。その予定は、学校と相談して決めます。
書くときのコツ
- 内容は単元の名前で書く:「算数」だけでなく「かけ算の筆算」まで書くと、学校は教育課程と照らし合わせやすくなります。今の時期に学年で学んでいる単元を、学校に教えてもらうのも一つの方法です。
- 理解の程度から始める:前の学年の内容から学び直す計画になることもあります。ただし成績評価の通知は、在籍する学年より下の学年の学習をしている教科を、要件を満たしていない例に挙げています。その教科は評定(数字の成績)がつかないこともあるので、学校と相談して決めましょう。
- 時間は「目安」として書く:学習時間は、体調や気持ちで変わります。「1回20分ほど」のように幅を持たせて書きます。
- 休みの日を最初から入れる:休む日が決まっていると、本人も見通しを持ちやすくなります。
1日に何時間、という国の決まりはありません
別記2には、1日に何時間学ぶかの決まりはありません。出席扱いの日数の数え方は、学校や教育委員会が規程をつくって判断することが考えられる、とされています。基準の例は、対面指導の日数や学習活動の時間などです。
自治体が目安を決めている場合もあります。例えば小千谷市のガイドラインは、自宅でICT等を使って学ぶ場合の目安を示しています。出席扱いとする1日の活動の最低時間は、「一単位時間(小学校:45分、中学校:50分)」が目安です。これは小千谷市の目安で、全国共通の基準ではありません。お住まいの地域の目安は、計画を立てる前に学校に確認しておきましょう。
1週間の例(小学生・中学生)
ここからの2つは、説明のためにつくった例です。人物・教材・時間はすべて架空のものです。書かれている時間は、出席扱いに必要な時間を示すものではありません。お子さんの様子に合わせて、減らしたり変えたりしてください。
2つの例では、次のことを大切にしています。
- 1回の学習を短めにして、午前中に終える
- 休みの日を、平日にも1日入れる
- 家庭訪問のある日は、学習を軽めにする
- 「これだけはやる」と「できたらやる」を分ける
例1:小学3年生(算数と国語を中心に)
月のねらいは「かけ算の筆算を進めること」と「朝10時ごろに机に向かうこと」です。保護者が近くで声をかけながら進める想定です。
| 曜日 | これだけはやる | できたらやる | メモ |
|---|---|---|---|
| 月 | 算数:タブレット教材でかけ算の筆算 20分/国語:音読と漢字 15分 | 好きな本を読む | |
| 火 | 算数:かけ算の筆算 20分/理科:庭の植物の観察 20分 | 観察カードに絵をかく | 雨の日は図鑑で調べる |
| 水 | 休み | 好きなことをして過ごす日 | |
| 木 | 国語:物語を読む 20分/社会:地図帳で自分のまちを探す 15分 | 家の人に読み聞かせをする | |
| 金 | 算数:かけ算の筆算 15分 | 図画工作:空き箱で工作 | 午後に担任の家庭訪問(隔週) |
| 土・日 | 休み | 出かけたら、体験として記録する |
この例の「これだけはやる」の合計は、1週間で2時間5分です。例えば月曜は35分で、先ほどの小千谷市の目安(小学校45分)には届きません。自治体の目安がある場合は、それもふまえて学校と相談してください。
低学年から中学年のうちは、本人が計画を読んで動くのは難しいものです。朝に「今日はこれとこれ」と声をかけるだけでも、計画は十分に役立ちます。
例2:中学1年生(タブレット教材を中心に)
月のねらいは「数学の正の数・負の数を終えること」と「英語の音読を続けること」です。本人と相談して、曜日と教科を決めた想定です。
| 曜日 | これだけはやる | できたらやる | メモ |
|---|---|---|---|
| 月 | 数学:タブレット教材で正の数・負の数 30分/英語:単語と教科書の音読 20分 | 英語の歌を聞く | |
| 火 | 国語:教科書の説明文を読み、要点を書く 30分/理科:動画教材で植物のつくり 30分 | ||
| 水 | 数学:正の数・負の数 30分/英語:音読 20分 | ||
| 木 | 休養日 | 体を動かす、外に出るなど自由に | |
| 金 | 社会:地図帳で世界の国を調べる 30分/数学:確認テスト 20分 | 午後に担任の家庭訪問(月2回の週) | |
| 土 | 技術・家庭:昼食づくり 1時間 | 気が向いたら | |
| 日 | 休み |
金曜の確認テストは、正解数を記録に書き写しておきます。本人の理解の程度を学校に伝える手がかりになり、翌月の計画を決める材料にもなります。
中学生の場合、成績は高校受験の調査書(内申書)にも関わります。どの教科をどこまで進めるかは、早めに学校と相談しておくと安心です。
例をまねるときの注意
- 教科の数は少なくてかまいません:はじめは1〜2教科から始め、慣れてきたら増やす方法もあります。
- 体験活動は学校に確認する:見学や料理を学習時間にどう数えるかは、学校や教育委員会で違うことがあります。
- 計画どおりにいかない週があって当然です:できなかった分は、翌週に回すか、思い切って減らします。
学校と共有するとき
最初の相談で渡すもの
はじめて学校に相談するときは、月の計画のたたき台と、1週間の例を1枚にまとめて持っていくと話が具体的になります。依頼文と一緒に渡すなら、依頼文の書き方と例文を参考にしてください。民間の教材を使っているなら、その教材のカリキュラムや学習の画面も見せられるようにしておきます。
自治体によっては、申し込みの書類に学習の内容を書く欄があります。例えば甲州市のガイドラインの申請書(様式8)には「学習活動の内容」の欄があります。民間のプログラムがある場合は記載する形です。
学校に聞いておきたいこと
- 計画や報告書に、決まった様式があるか
- 今の学年で、これから学ぶ単元とその時期(年間指導計画や、教科書の進み方)
- 1日の学習時間の目安や、出席扱いの日数の数え方の基準があるか
- 家庭訪問や面談の頻度と、担当する人
- 計画をどのくらいの頻度で、どの形で出せばよいか
計画・記録・報告書の関係
計画は「これからの予定」、記録は「実際にしたこと」、報告書は「期間のまとめ」です。3つがそろうと、学校は予定と実際を見比べられます。
| いつ書く | 何を書く | 詳しい記事 | |
|---|---|---|---|
| 計画 | 月のはじめ、学期のはじめ | これから学ぶ予定 | この記事 |
| 記録 | 毎日 | 実際に学んだこと、本人の言葉 | 学習記録のつけ方 |
| 報告書 | 週1回、月1回など学校と決めた頻度 | 期間の集計と様子のまとめ | 学習状況報告書の書き方 |
報告書の書き方の記事で紹介している「今後の予定と相談したいこと」の欄に、次の月の計画を書くこともできます。
見直し方
計画は、一度つくったら終わりではありません。お子さんの様子に合わせて、こまめに直していくものです。
毎週:予定と記録を見比べる
週末に5分ほど、1週間の予定と記録を並べて見ます。できたこと、できなかったことに印をつけるだけで十分です。できなかった理由を責めるのではなく、「量が多かったかな」と予定の側を見直します。
毎月:量と内容を調整する
月末には、次の3つを確かめます。
- 進み具合:単元が予定どおり進んだか。進みすぎ・遅れすぎていないか
- 理解の程度:確認テストの結果や本人の言葉から、分かったところと難しいところ
- 生活のリズム:学習を始める時間や、疲れが出やすい曜日
これをもとに、次の月の計画を決めます。教材を変えるときや、教科を増やす・減らすときは、学校にも伝えておきましょう。
学期ごと:学校と一緒に振り返る
学期末は、通知表の時期でもあります。家庭訪問や面談のときに、学期の計画と実際を学校と一緒に振り返ります。成績評価や出席扱いの日数について確認したいことも、このときに聞いておくとよいでしょう。
計画どおりにいかないとき
体調や気持ちが落ちこむ時期には、計画を大きく減らしてかまいません。「これだけはやる」を1つにする、1週間まるごと休む、という判断もありえます。休んだ日も、記録に1行残しておくと、あとで体調の波が見えてきます(記録のつけ方の「しんどくて休んだ日」の例)。
大きく計画を変えたときは、そのことも学校に伝えます。校長が学習の状況を十分に把握していることも、出席扱いの要件の一つだからです。
計画と記録を、とどけ帳で
とどけ帳は、毎日の学習記録から、学校に出す報告書の下書きをAIがつくるアプリです。教科ごとの日数や時間はシステムが記録から計算するので、計画と見比べるときにも使えます。
参考資料
- 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」(「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日の別記2と別紙)
- 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)
- 文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」リーフレット(令和8年4月):保護者等向け(PDF)/学校・教育委員会等向け(PDF)
- 熊本市「不登校児童生徒の指導要録上の出席扱いについてのガイドライン」(令和6年10月改訂版)
- 小千谷市教育委員会「不登校児童生徒の『指導要録上の出席扱い』に関するガイドライン」(PDF)(令和6年9月)
- 甲州市教育委員会「不登校児童生徒の『指導要録上の出席扱い』に関するガイドライン」と様式(令和7年4月)
学習計画のテンプレート(コピーして使えます)
〇〇の部分を書き換えてお使いください。「コピーする」を押すと、改行も含めてそのままコピーされます。学校に出すときは「月の学習計画」を、家で使うときは「1週間の予定表」を使うと便利です。
月の学習計画(学校と共有する用)
〇月の学習計画 〇〇小学校(中学校) 〇年〇組 〇〇〇〇 期間:〇月〇日〜〇月〇日 作成日:〇月〇日 作成:保護者(本人と相談して作成) 【この月のねらい】 ・〇〇(例:かけ算の筆算ができるようになる) ・〇〇(例:午前中に机に向かう日を増やす) 【教科ごとの予定】 ・〇〇(教科):〇〇(教材)で「〇〇」(単元)。〇〇まで進む予定 ・〇〇(教科):〇〇(教材)で「〇〇」(単元)。〇〇まで進む予定 ・〇〇(教科):〇〇(教材)で「〇〇」(単元) ・体験活動など:〇〇 【1週間の流れ】 ・学習する日:〇曜日〜〇曜日の午前(1回〇分ほど) ・休みの日:〇曜日と土日 ・体調がよくない日は、〇〇だけにする 【学校との関わり】 ・家庭訪問や面談の予定:〇月〇日、〇月〇日 【記録と報告】 ・記録:毎日、〇〇(ノート・アプリなど)に書く ・報告:〇〇(例:月末)に、報告書を〇〇先生にお渡しする 【見直し】 ・毎週〇曜日に、予定と記録を見比べる ・〇月〇日ごろ、来月の計画を先生にご相談する 【学校にご相談したいこと】 ・〇〇
1週間の予定表(家で使う用)
〇月〇日〜〇月〇日の予定 月曜日 これだけはやる:〇〇(教科)〇〇(内容)〇分 できたらやる:〇〇 火曜日 これだけはやる:〇〇(教科)〇〇(内容)〇分 できたらやる:〇〇 水曜日 これだけはやる:〇〇(教科)〇〇(内容)〇分 できたらやる:〇〇 木曜日 これだけはやる:〇〇(教科)〇〇(内容)〇分 できたらやる:〇〇 金曜日 これだけはやる:〇〇(教科)〇〇(内容)〇分 できたらやる:〇〇 土曜日・日曜日 休み(出かけたら、体験として記録する) 今週の予定:家庭訪問・面談 〇月〇日(〇)〇時〜 休みにする日:〇曜日 先週からの変更:〇〇