自宅での学習を出席扱いにしてほしいと学校に相談すると、家での学習の様子を定期的に知らせてほしい、と頼まれることがあります。そのときに出す書類が、この記事でいう 学習状況報告書 です。
呼び名は学校や自治体によって違います。「学習実績報告表」「日々の学習活動等の記録」などの名前の様式もあります。文部科学省の通知やリーフレットには、保護者が出す報告書の決まった様式は示されていません。
この記事では、報告書に入れたい項目と、中学2年生・1か月分の記入例を紹介します。
報告書は何のために出すのか
自宅でICT(パソコンやタブレット、インターネットなど)等を使って学ぶ場合について、通知の別記2には7つの要件があります。そのうち要件5は、校長が、対面指導や学習活動の状況等を十分に把握すること です。対面指導とは、先生などが家庭訪問などで子どもと直接会って関わることです。なお、7つ目の要件は、成績評価に反映する場合のものです。
通知の別記2は、把握の方法の例として、対面指導にあたる人から定期的に報告を受けることを挙げています。担任や保護者などを含めた連絡会を開くことも例に挙がっています。先生が毎日の学習を見ることはできないので、家庭からの報告書は、学校が状況を知るための大切な材料になります。
報告書は、成績評価にも関係します。令和6年8月の成績評価の通知は、学校が保護者等を通じて学習の状況を定期的・継続的に把握することを要件の一つにしています。同じ通知には、十分な評価の材料が提出されていない場合などにもふれています。そうした場合、すべての教科・観点で評価をつけることは必ずしも求められない、としています。
ただし、報告書を出せば出席扱いになる、というものではありません。出席扱いや成績評価の判断は、学校(校長)が行います。報告書は、その判断のための材料の一つです。
報告書に入れる6つの項目
文部科学省の学校・教育委員会等向けリーフレットには、民間施設が学校に出す活動報告に書く事項の例があります。「施設の利用日」「活動の内容」「本人の振り返り」「スタッフのコメント」です。例えば甲州市の参考様式には、日付、学習の時刻と取り組んだこと、面談や対面指導の内容、子どもの様子を書く欄があります。
これらをふまえて、家庭からの報告書には次の6つの項目を入れることをおすすめします。
| 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 1. 集計 | 期間、学習した日数、合計時間、教科ごとの日数と時間 | 6月:17日、合計16時間10分。数学12日・6時間 |
| 2. 教科ごとの内容と様子 | 教材名、単元(学習のまとまり)、取り組みの様子 | 数学:タブレット教材で連立方程式。文章題は途中で手が止まることがあった |
| 3. 本人の振り返り | 本人の言葉を、日付と教科をつけてそのまま | 6月4日(数学)「代入法のほうがわかりやすい」 |
| 4. 生活と心身の様子 | 起きる時間、体調の波、休んだ日 | 18日〜21日は頭痛があり、学習を休んだ |
| 5. 学校との連携の状況 | 家庭訪問、面談、電話の日付と内容 | 6月12日:担任の家庭訪問。本人も玄関で話した |
| 6. 今後の予定と相談したいこと | 次の期間に取り組むこと、学校に聞きたいこと | 7月は一次関数に進む予定。期末テストの範囲を知りたい |
6の今後の予定は、学校と話し合った学習計画にそって書くと伝わりやすくなります。計画の立て方は、出席扱いの学習計画の立て方で紹介しています。
教科ごとの様子を書くときは、「観点」を意識すると学校が読みやすくなります。観点とは、成績をつけるときに学習の状況をみる視点のことです。平成31年3月の通知で、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つに整理されています。点数をつけるのではなく、「〜する様子が見られました」と控えめに書くのがよいでしょう。観点や評定が成績でどう扱われるかは、出席扱いと成績評価・通知表の関係で説明しています。
記入例(中学2年生・1か月分)

以下は、すべて架空の例です。人物・学校・数字は実在しません。中学2年生の子どもが、自宅でタブレット教材などを使って学んだ1か月分を想定しています。
家庭での学習状況報告書
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 児童生徒 | 中2 Aさん |
| 在籍校 | ○○市立○○中学校 |
| 対象期間 | 2026年6月1日〜2026年6月30日 |
| 作成日 | 2026年7月3日 |
| 作成者 | 保護者 |
1. 期間中の学習の集計
学習した日数は 17日、合計学習時間は 16時間10分 でした。
| 教科 | 学習日数 | 合計時間 |
|---|---|---|
| 数学 | 12日 | 6時間 |
| 英語 | 10日 | 4時間10分 |
| 国語 | 6日 | 2時間30分 |
| 理科 | 4日 | 2時間 |
| 技術・家庭 | 2日 | 1時間30分 |
2. 教科ごとの学習内容と様子
| 教科 | 主な学習内容 | 取り組みの様子 |
|---|---|---|
| 数学 | タブレット教材で連立方程式(加減法・代入法)。1回30分 | 計算問題は、確認問題10問中7〜9問正解の日が多くありました。文章題は、式を立てる途中で手が止まることがありました。思考・判断・表現:何を x と y にするかを自分で決めて、式を立てようとする様子が見られました。 |
| 英語 | オンライン教材で未来の表現(be going to、will)。教科書本文の音読 | 音読は、はじめは小さな声でした。6月後半には、最後まで読み通せた日もありました。主体的に学習に取り組む態度:わからない単語を自分で調べて、ノートに書き出していました。 |
| 国語 | 教科書の説明文を読み、段落ごとの要点を1文でまとめる。漢字ドリル | 要点を書くことには時間がかかりましたが、6日とも最後まで取り組みました。 |
| 理科 | 動画教材で「化学変化と原子・分子」(分解、原子の記号) | 知識・技能:動画を見たあと、原子の記号をノートにまとめる様子が見られました。 |
| 技術・家庭 | 昼食づくり(野菜炒め、みそ汁)。材料の準備から片づけまで | 手順をメモに書いてから始めていました。 |
3. 本人の振り返り・言葉
- 6月4日(数学)「代入法のほうがわかりやすい」
- 6月11日(理科)「実験の動画だと、何が起きたかがよくわかった」
- 6月22日(数学)「久しぶりだったので、少し忘れていた」
- 6月26日(技術・家庭)「次はチャーハンを作りたい」
4. 生活と心身の様子
起きる時間は9時ごろが多く、午前中に学習する日が少しずつ増えました。6月18日から21日は頭痛があり、学習を休みました。22日から再開しています。29日・30日は休養にあてました。
5. 学校との連携の状況
- 6月5日(金)電話(担任の先生):6月の学習の予定をお伝えしました。
- 6月12日(金)家庭訪問(担任の先生)/本人も参加:数学のプリントを受け取りました。本人は玄関で10分ほどお話ししました。
- 6月26日(金)家庭訪問(担任の先生)/本人も参加:昼食づくりの写真をお見せしました。
6. 今後の学習予定と、学校にご相談したいこと
- 数学は連立方程式の文章題を続け、7月中に一次関数に進む予定です。
- 英語は音読を週3回続けます。
- 期末テストの範囲のプリントをいただけるか、ご相談させてください。
- 7月の家庭訪問の日程を、ご都合に合わせて決めさせてください。
この記入例の数字の確かめ方
教科ごとの時間を足すと、6時間+4時間10分+2時間30分+2時間+1時間30分です。これは 16時間10分 で、合計と一致します。教科ごとの学習日数(12+10+6+4+2)は34日ですが、1日に2教科以上学んだ日があるため、学習した日数は17日です。報告書を出す前に、合計と内訳が合っているかを確かめましょう。
書き方のコツ
事実を具体的に書く
「よくがんばりました」よりも、「6月は17日、合計16時間10分」「連立方程式の加減法」のように書くほうが伝わります。教材名や単元名があると、学校は教育課程に照らして内容を確かめやすくなります。教育課程とは、学校が学年ごとに決めている学習の内容と計画のことです。
誇張しない
できたことを大きく書きたくなりますが、記録にないことは書かないのが基本です。「文章題は途中で手が止まることがあった」のような記述も、学校が次の支援を考える材料になります。点数や評定(成績の数字)を保護者がつける必要はありません。
本人の言葉は、日付つきでそのまま引用する
本人の言葉は、言い換えずに「」でそのまま書きます。日付と教科を添えると、いつ、何について話したのかが伝わります。振り返りがない日まで無理に書く必要はありません。
しんどかった日も書く
休んだ日や、体調がすぐれなかった日を隠す必要はありません。記入例の「18日から21日は頭痛があり、学習を休みました」のように、事実を短く書きます。体調や気持ちの波も、学校と共有したい大切な情報です。医学的な診断のような書き方は避け、見たままを書きましょう。
1〜2枚におさめる
報告書を読むのは、担任の先生や校長先生です。毎日の細かい記録を全部写すのではなく、集計と要点にまとめます。細かい記録は、求められたときに見せられるように手元に残しておきます。
提出の頻度と方法
報告書をどのくらいの頻度で出すかについて、全国共通の決まりはありません。成績評価の通知によると、学習の状況を把握する頻度は、各学校が判断するものです。そのうえで、最低限、通知表などの時期(例えば学期ごと)に合わせた把握が必要だとしています。これは成績評価のための把握の頻度で、学期に1回関わればよいという意味ではない、とも書かれています。
自治体のガイドラインには、月ごとの提出を想定しているものがあります。例えば熊本市のガイドラインは、自宅でICT等を使って学ぶ場合に学校が確認する事項を挙げています。その一つが「毎月の学習状況等を学校へ提出できるか」です。
家庭の負担も考えると、例えば次のような決め方があります。
- はじめの1〜2か月は週1回:学校が様子をつかみやすく、家庭も書き方に慣れます。
- 慣れてきたら月1回:月末に1か月分をまとめて出します。
- 学期末:通知表の時期に合わせて、学期全体のまとめを出す方法もあります。成績評価のための把握について、通知が「最低限」として示す時期にあたります。
出し方は、紙で渡す、メールで送る、家庭訪問のときに手渡すなど、学校と相談して決めます。学校の端末や連絡用のアプリが使える場合もあります。どの方法でも、提出した日と内容を家庭でも控えておくと、あとで確認しやすくなります。
自治体の様式がある場合
学校・教育委員会等向けリーフレットは、民間施設に通う子どもの様子を定期的に報告する方法にふれています。その目安などを、教育委員会等があらかじめ示しておくことが望まれる、としています。自治体によっては、自宅で学ぶ場合も含めて、報告書の様式を決めています。
- 甲州市のガイドラインには、保護者(本人)が記入する「日々の学習活動等の記録」の参考様式があります。学習の時刻と取り組んだこと、面談や対面指導の内容、子どもの様子を書く形です。
- 小千谷市のガイドラインでは、学校が「学習実績報告表(日付、学習時間、内容等)」で学習状況を確認するとしています。民間事業者の教材を使っていて、事業者がつくった報告表がある場合は、その添付でよいとされています。
まずは、在籍校に「報告書の様式はありますか」と聞いてみましょう。学校が分からない場合は、教育委員会に問い合わせることもできます。様式がある場合は、その様式に合わせて書きます。欄が小さくて書ききれないときは、この記事の6つの項目で別紙をつけてもよいか、学校に相談するとよいでしょう。
同じ小千谷市のガイドラインには、自宅でICT等を使って学ぶ場合の目安もあります。出席扱いとする1日の活動の最低時間を、一単位時間(小学校45分、中学校50分)としています。これは小千谷市の目安で、全国共通の基準ではありません。1日に何分学べばよいかは、在籍校や教育委員会の考え方を確認してください。
記録から報告書へ
報告書は、毎日の記録があれば、ぐっと書きやすくなります。日付・教科・時間・内容・本人の言葉を残しておく方法は、家庭学習の記録のつけ方にまとめています。はじめて学校に相談するときは、依頼文の書き方も参考にしてください。
とどけ帳では、毎日の記録から、この記事の6つの項目にそった報告書の下書きをAIがつくります。集計の数字は、システムが記録から計算します。
参考資料
- 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」(「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日の別記2)
- 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)
- 文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」リーフレット(令和8年4月):保護者等向け(PDF)/学校・教育委員会等向け(PDF)
- 文部科学省「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」(平成31年3月29日)
- 甲州市教育委員会「不登校児童生徒の『指導要録上の出席扱い』に関するガイドライン」と様式(令和7年4月)
- 小千谷市教育委員会「不登校児童生徒の『指導要録上の出席扱い』に関するガイドライン」(PDF)(令和6年9月)
- 熊本市「不登校児童生徒の指導要録上の出席扱いについてのガイドライン」(令和6年10月改訂版)