とどけ帳

不登校の家庭学習の記録方法を比較:ノート・表計算・教材レポート・アプリ

公開日:2026/09/26 更新日:2026/09/26 文:とどけ帳(運営:Qalbra)

不登校の子の家庭学習を記録する方法は、いくつかあります。主な選択肢は、紙のノート、表計算ソフト、教材会社の学習レポート、記録アプリの4つです。この記事では、この4つを5つの観点で比べ、どんな家庭に向いているかを整理します。

家庭の記録は、学校が家での学びの様子を知るための材料になります。出席扱いとは、一定の要件のもとで、学校の外での学びを校長の判断で出席として扱える制度です。要件は出席扱いの要件と相談の流れに、記録に何を書くかは学習記録のつけ方にまとめました。

はじめにお断りです。この記事は、記録アプリ「とどけ帳」の運営者が書いています。とどけ帳も比べる対象に入れ、弱みも書きます。ほかの会社の製品名は出さず、一般的な呼び名で比べます。

出席扱いにするかどうかを判断するのは、学校(校長)です。どの道具で記録しても、それだけで認められるわけではありません。記録は、学校が判断するための材料の一つです。

比べる5つの観点

  1. 続けやすさ:疲れている日でも、1〜2分で書けるか。書く場所や時間を選ばないか。
  2. 集計の手間:学習した日数や、教科ごとの合計時間をすぐに出せるか。
  3. 学校への出しやすさ:学校が読みやすい形で、定期的に渡せるか。
  4. 費用:始めるときと、続けるときにかかるお金。
  5. 教材を選ばないか:タブレット教材、本、体験活動など、どんな学び方でも残せるか。

3つめの観点が大切な理由は、国の通知にあります。自宅でICT(パソコンやタブレット、インターネットなど)等を使って学ぶ場合の要件は、通知の別記2にあります。その一つが、校長が学習活動の状況等を十分に把握することです。例として、対面指導にあたる人から定期的に報告を受けることが挙げられています。担任や保護者などを含めた連絡会を開くことも、例に挙がっています。

令和6年8月の成績評価の通知も、学校が保護者等を通じて、学習の状況を定期的・継続的に把握する必要があるとしています。どの道具を選ぶにしても、学校に定期的に渡せる形にできるかを考えておきましょう。

どの道具を使う場合も、内容は具体的に残すことが大切です。別記2の別紙(Q&A)には、出席扱いとしなかった例が載っています。その一つは、無料のインターネット学習プログラムで「学習のねらいや内容が明確でなかった」例です。

4つの方法の比較表

下の表は、それぞれの方法の一般的な傾向です。同じ種類の道具でも、製品によって機能や料金は違います。どの方法の記録でも、学校がどう扱うかは在籍校に確認してください。

観点紙のノート表計算ソフト教材会社の学習レポート記録アプリ
続けやすさすぐ始められる。子どもも書けるはじめに表をつくる手間がある。スマホからの入力は少し面倒教材を使えば自動で残る。保護者の手間は少ないスマホで入力できる。操作に慣れる時間が必要
集計の手間手で数えて足す式で計算できる教材の中の時間や正答数は自動自動で集計する機能を持つものもある
学校への出しやすさそのまま見せるか、書き写す印刷やファイルで渡せる印刷や画面で見せる報告書づくりを助ける機能を持つものもある
費用ノート代くらい無料で使えるソフトもある教材を使っていれば追加費用なし(教材の利用料は必要)無料のものも、有料のものもある
教材を選ばないか選ばない選ばないその教材での学習だけ製品による

ここからは、方法ごとに良い点と気をつけたい点を見ていきます。

紙のノート・手帳

良い点

  • ノートとペンがあれば、今日から始められます。
  • 子どもが自分で書いたり、絵やシールを添えたりできます。
  • 画面を見なくてよいので、スマホやパソコンが苦手でも使えます。

気をつけたい点

  • 学習した日数や教科ごとの時間は、手で数えて足す必要があります。
  • 報告書にまとめるときに、書き写す手間がかかります。
  • なくしたり汚したりすると、元に戻せません。学校に渡す前に、コピーや写真を残しておくと安心です。

自治体によっては、記録の様式(書式)を用意しています。例えば甲州市教育委員会は、様式11「日々の学習活動等の記録」(保護者(本人)記入用)を公開しています。日付、時刻、取り組んだこと、面談や対面による指導の内容などを書く参考様式です。在籍校の地域に様式があれば、それを使うのが近道です。

記録とは別に、子どもが勉強に使ったノートそのものも役に立つことがあります。熊本市のガイドラインは、成績評価の材料の例に「学習において用いたワークシートやノート」を挙げています。これは熊本市の例なので、在籍校での扱いは学校に確認してください。

向いている家庭:まずは気軽に始めたい家庭。子どもが自分で書くことを楽しめる家庭。スマホやパソコンを使う時間を増やしたくない家庭。

表計算ソフト

良い点

  • 日付・教科・時間・内容を列に分けておけば、合計や教科ごとの時間を式で計算できます。
  • 学校の様式に合わせた表をつくり、印刷やファイルで渡せます。
  • パソコンに入っているものや、無料で使えるものもあります。

気をつけたい点

  • はじめに表をつくる手間があります。式を間違えると、合計もずれます。
  • スマホからの入力は、画面が小さく少し面倒です。
  • 本人の言葉など長い文章は、表の中では読みにくくなりがちです。

向いている家庭:パソコンでの作業に慣れている家庭。学校から表の形での提出を求められている家庭。毎月の合計時間をきちんと出したい家庭。

教材会社の学習レポート

タブレット教材や通信教育の中には、学習の履歴を保護者向けに表示できるものがあります。ここでは、それを「教材会社の学習レポート」と呼びます。

良い点

  • 教材を使えば、学習した日や時間が自動で残ります。保護者が書く手間はほとんどありません。
  • 確認問題の正答数など、教材の中の数字がそのまま残ります。
  • 保護者が書くのではなく、教材の仕組みが残す記録です。そのため、学習した事実をそのまま示せます。小千谷市のガイドラインは、民間事業者の教材を使う場合の扱いを定めています。事業者がつくった「学習実績報告表」等があれば、その添付でよいとしています。

国の通知にも、民間の教材の記録にふれた部分があります。別記2の別紙は、民間業者の教材を使う場合の評価について書いています。学習履歴や学習時間、確認テストの結果などをもとに評価することも考えられる、としています。あらかじめ決められた学習プログラムを使ってもかまわない、とも書かれています。

ほかの自治体の例もあります。熊本市のガイドラインでは、学校が民間業者のICT教材について問い合わせるなどして、情報を集めます。計画的な学習プログラムかどうかを判断するためです。小千谷市も熊本市も、その市の例です。在籍校でどう扱うかは、学校に確認してください。

気をつけたい点

  • 残るのは、その教材での学習だけです。本、体験活動、ほかの教材での学びは、別に記録が必要です。
  • 本人の言葉や、その日の体調・気持ちは残りません。
  • 教材の利用料がかかります。レポートを目当てに教材を選ぶと、子どもに合わないこともあります。
  • 表示される項目や、印刷・書き出しができるかは、教材によって違います。

向いている家庭:1つの教材を中心に学んでいる家庭。保護者が記録に使える時間がとても少ない家庭。どちらの場合も、家庭のひとことメモと組み合わせると、学びの全体が伝わりやすくなります。

記録アプリ

ここでいう記録アプリは、家庭学習の記録を目的にしたスマホやパソコンのアプリです。

良い点

  • スマホでいつでも入力でき、日付・教科・時間などの形がそろいます。
  • 自動で集計したり、報告書づくりを助けたりする機能を持つものもあります。
  • 教材の種類を問わず、同じ形で残せるものもあります。

気をつけたい点

  • アカウントの登録や、操作に慣れる時間が必要です。
  • 有料のものや、一部の機能だけ有料のものがあります。
  • 子どもの情報を預けることになります。データの保存先や個人情報の扱い、退会したときの扱いを確かめましょう。
  • サービスが終わると、使えなくなることがあります。学校に出した報告書は、印刷やPDFで手元にも残しておくと安心です。

向いている家庭:教材や体験活動など、学び方がいろいろ混ざっている家庭。週ごとや月ごとに、報告書にまとめて学校に出す家庭。ノートを持ち歩くより、スマホのほうが手軽な家庭。

とどけ帳の得意なことと弱み

とどけ帳は、この記事でいう「記録アプリ」の一つです。運営者として、できることと弱みを並べます。

できること

  • 学習の記録と、学校とのやりとり(家庭訪問、面談、電話など)の記録は、無料プランでも件数の上限なく残せます。
  • 「数学を45分、連立方程式」のように文章で書くと、AIが教科・時間・内容・本人の言葉に分けます。時間が書かれていないときは、AIが目安の時間を入れます。保存する前に、内容を確かめて直せます。対応しているブラウザでは、音声でも入力できます。
  • 教材の種類を選びません。ICT教材、動画、ドリル、本、体験活動なども記録できます。教育支援センター(教育委員会などが設ける、学びと相談の場)やフリースクールでの活動も残せます。
  • 期間を選ぶと、学習状況報告書の下書きをAIがつくります。学習した日数や教科ごとの時間は、AIではなくシステムが記録から計算します。
  • 依頼文、学習計画書、面談準備メモの下書きもつくれます。文書は編集でき、印刷・PDF保存や、テキストでのコピーができます。
  • 子どもは呼び名で登録できます。AIに送る内容は、保存も学習もされない設定(ゼロデータ保持)で処理しています。

弱み

  • 有料プランがあります。無料プランでは、文書の作成は月2件まで、登録できる子どもは1人です。AIによるかんたん入力は1日10回までです。
  • プロプランは月額1,480円(税込)、または年額14,800円(税込)です。はじめての方は14日間無料で試せます。
  • AIの下書きは、間違えることがあります。記録にないことは書かないよう指示していますが、提出の前に必ず保護者が読んで直してください。
  • かんたん入力で時間を書かなかった日は、AIが入れた目安の時間が残ります。保存する前に、実際の時間に直してください。
  • スマホかパソコンと、インターネットにつながる環境が必要です。メールアドレスでのアカウント登録も必要です。
  • 記録そのものを、表計算ソフト用のファイルに書き出す機能は、今のところありません。記録アプリ全般と同じく、学校に出した文書は印刷やPDFで手元にも残しておいてください。
  • 紙のほうが合う家庭もあります。子どもが自分の手で書くことに意味がある場合や、画面を見る時間を減らしたい場合です。

とどけ帳を使っても、出席扱いが保証されるわけではありません。判断するのは、ほかの方法と同じく学校(校長)です。

家庭に合う方法の選び方

こんな家庭合いそうな方法
まずは気軽に始めたい紙のノート
子どもが自分で書きたがる紙のノート
学校から表の形での提出を求められている学校の様式、または表計算ソフト
1つの教材を中心に学んでいる教材会社の学習レポートと、ひとことメモ
学び方がいろいろで、毎月報告書を出す記録アプリ、または表計算ソフト

1つに決める必要はありません。例えば、教材での学習はレポートに任せ、体験活動や本人の言葉だけノートに書く、という組み合わせもできます。途中で道具を変えてもかまいません。いちばん大切なのは、無理なく続けられることです。

道具を選ぶ前に、学校に確かめたいこと

  • 決まった様式はあるか:自治体や学校によっては、記録や報告の様式があります。あれば、それに合わせるのが近道です。
  • どのくらいの頻度で出すか:熊本市のガイドラインでは、保護者などが毎月の学習状況等を学校へ出せるかを、学校が確かめます。成績評価の通知は、把握の頻度は各学校が判断するものだとしています。そのうえで、成績評価のための把握は、最低限、通知表などの時期(例えば学期ごと)に合わせて行う必要があるとしています。
  • どんな形で渡すか:紙で渡す、メールで送る、面談で画面を見せるなど。データで送ってよいかも聞いておきましょう。
  • 教材のレポートをそのまま出してよいか:扱いは、学校や自治体によって違います。

記録を報告書にまとめる方法は、学習状況報告書の書き方で紹介しています。記録は、学校と共有した学習の計画と見比べられると、伝わりやすくなります。計画のつくり方は、学習計画の立て方をご覧ください。

まとめ

  • 記録の道具は、家庭で選べます。学校に様式があれば、それがいちばんの近道です。
  • 紙は始めやすく、表計算は集計に強く、教材のレポートは手間が少なく、記録アプリは形がそろいます。
  • どの方法にも弱みがあります。組み合わせたり、途中で変えたりしてかまいません。
  • 出席扱いの判断は、学校(校長)がします。記録は、そのための材料です。

参考資料