「出席扱いの相談をしたら、家庭訪問の話が出た」「子どもが先生と会えそうにない」。自宅学習の出席扱いを考えるとき、多くの家庭が気にするのが「対面指導」です。
この記事では、文部科学省の通知をもとに、対面指導とは何か、誰がどのくらい行うのかを整理します。オンライン面談の扱いや保護者の準備、本人が会うのがつらいときの工夫も紹介します。出席扱いの要件全体は、自宅学習が出席扱いになる7つの要件で説明しています。
はじめに、大切なことを1つ。出席扱いにするかどうかを最終的に判断するのは、校長です。対面指導の回数や方法も、学校や地域によって違います。この記事は、学校と相談するときの手がかりとしてお使いください。
要件3「訪問等による対面指導」の意味
自宅でICT(パソコンやタブレット、インターネットなど)等を使って学ぶ場合の要件は、通知の別記2にあります。その3つ目が対面指導です。原文は次のとおりです。
訪問等による対面指導が適切に行われることを前提とすること。対面指導は,当該児童生徒に対する学習支援や将来の自立に向けた支援などが定期的かつ継続的に行われるものであること。
対面指導とは、先生などの大人が子ども本人と直接会い、学習や自立の支援をすることです。自立とは、将来、自分の力で社会の中で生きていけるようになることです。
なお、別記2は、小・中学校など義務教育段階の子どもについての決まりです。高校生の場合は制度が違うところがあるので、出席扱いの要件と相談の流れの「高校生の場合」をご覧ください。
「前提」とされている要件です
通知の言葉は「前提とすること」です。6つ目の要件の中でも、対面指導が適切に行われていることを前提とする、とくり返されています。令和8年4月の保護者等向けリーフレットでも、自宅学習の出席扱いの主な要件の一つです。
教材でしっかり学んでいることと、対面指導が行われていることは、別々の要件です。学習の中身とは別に、子どもと大人が直接会う機会が求められています。
「定期的かつ継続的」とは
対面指導は、一度会えば終わりではありません。通知は、支援が「定期的かつ継続的に」行われるものとしています。ただし、「週に何回」といった回数は、別記2にも別紙(Q&A)にも書かれていません。
校長が状況を知るための機会でもあります
要件5は、校長が対面指導や学習活動の状況等を十分に把握することです。別記2は、その方法の例を2つ挙げています。対面指導にあたっている人から、定期的に報告を受けること。担任などの教職員や保護者を含めた、連絡会を開くことです。
別紙には、出席扱いとしなかった例も載っています。学校が家庭訪問などの対面指導を設定したが、家庭の協力が得られなかった例です。子どもの状況や学習の様子を、十分に確認できなかったとされています。理由ごとの考え方は、出席扱いが認められないときの理由と対応にまとめています。
成績評価の決まりにも、対面での関わりがあります
出席扱いとは別に、欠席中の学習を成績評価に生かすための決まりもあります。令和6年8月29日に公布・施行された省令と告示です(成績評価の通知)。省令は、法律にもとづいて大臣が定めるきまりです。告示は、国が決めた内容を公に示すもので、ここでは成績評価の要件を定めています。
告示の3つ目の要件は、学校が「訪問による対面指導等」で、子どもの状況を定期的・継続的に把握することです。あわせて、子どもと学校との適切な関わりを保つよう留意すること、とされています。
出席扱いの要件(別記2)と、成績評価の要件(告示)は、別の決まりです。この記事では、どちらの資料の話かを分けて書きます。成績評価について詳しくは、出席扱いと成績評価・通知表の関係をご覧ください。
誰が・どこで・どのくらい
誰が行うのか
別記2の別紙では、対面指導を行う人として、次のような人が想定されています。
- 在籍校の先生
- スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの専門家
- 教育支援センターの職員
- 教育委員会などから事前に指導・研修を受けたボランティアスタッフ
スクールカウンセラーは、学校で子どもや保護者の相談にのる専門家です。スクールソーシャルワーカーは、福祉の面から子どもや家庭を支え、関係機関とつなぐ専門家です。教育支援センターは、教育委員会などが設ける、不登校の子どものための学びと相談の場です。
先生や専門家以外の人が対面指導を行う場合について、別記2には留意事項があります。教育委員会や学校が、事前の指導や研修、訪問中の援助などを行うよう努める、というものです。
担任の先生だけが行うもの、と決まっているわけではありません。
成績評価の通知にも、担任による相談・指導が難しい場合の記述があります。ほかの先生や養護教諭、スクールカウンセラーなどが行うことも考える、としています。養護教諭は、保健室の先生のことです。
教育支援センターについては、国の教育支援センター整備指針(試案)があります。家庭訪問による相談・指導は、実情に応じて適切に行うことが望ましい、としています。お住まいの地域のセンターで何ができるかは、センターや学校に確認してください。
どこで会うのか
通知の言葉は「訪問等」です。「等」とあるとおり、家庭訪問だけに限った書き方ではありません。どこで会うかは、子どもの状態に合わせて学校と相談して決めます。
家庭訪問については、令和元年の通知にも記述があります。学校は、プライバシーに配慮しつつ、定期的に家庭訪問を行い、子どもの理解に努める必要がある、としています。訪問の意図・目的や方法、成果を検証しながら、適切に行う必要がある、とも書かれています。
家の中で会うのが難しい場合は、ほかの場所を相談してみてもよいでしょう。例えば、放課後の学校や、教育支援センターなどです。そこで会えるかどうか、出席扱いの対面指導として扱えるかどうかは、学校に確認してください。
どのくらいの頻度か
出席扱いの通知(別記2)には、回数の決まりはありません。求められているのは、定期的かつ継続的であることです。
ただし、別記2の留意事項には、出席扱いとする日数の数え方についての記述があります。学校や教育委員会が、例えば対面指導の日数や学習時間などを基準に規程をつくる、という考え方です。地域によっては、対面指導の回数が、日数の数え方に関わることもありえます。
参考になるのが、成績評価の通知の記述です。これは出席扱いではなく、成績評価についての説明です。
- 学習状況を把握する頻度は、子どもの状況をふまえて、各学校が判断する
- 最低限、通知表などの時期(例えば学期ごと)に合わせて、学習状況を把握する必要がある
- ただし、関わりは学期に1回でよい、という意味ではない
- 子どもの心理状況などをふまえつつ、できるだけこまやかに関わり続けることが重要
出席扱いのための対面指導の回数は、学校(地域によっては教育委員会の基準)で決まります。「週1回」「2週に1回」など、無理なく続けられる形を相談してみてください。
自治体のガイドラインの例
自治体によっては、対面指導の扱いを、ガイドラインで具体的に決めています。例えば、新潟県の小千谷市教育委員会のガイドライン(令和6年9月)には、次のように書かれています。
- 自宅でのICT等の学習の出席扱いでは、学校の訪問等による対面指導が、定期的・継続的に行われていることを要件としている
- 対面指導を行う人として、学校職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、訪問支援員などを挙げている
- 対面を原則とし、本人や保護者の都合などで難しい場合は、オンラインを活用するなどの工夫をするよう書いている
- 状況ごとの扱いの目安の表では、家庭訪問を2つに分けている。教員が本人と会い、相談や学習支援などをした場合は「出席」。本人と会えず、保護者や家族との面談のみの場合は「欠席」
これは小千谷市の目安で、ほかの地域にそのまま当てはまるわけではありません。お住まいの地域にガイドラインがあるか、学校や教育委員会に聞いてみてください。
オンライン面談の扱い(資料で確認できた範囲)
ビデオ通話などで話すオンライン面談は、対面指導に含まれるのでしょうか。国の資料で確認できたことを、資料ごとに整理します。
出席扱いの要件(別記2と別紙)
別記2の言葉は「訪問等による対面指導」です。別記2と別紙には、オンラインでの面談を対面指導として扱うかどうかの記述はありません。
一方、別紙には、オンラインの授業についての記述があります。在籍校の授業を自宅に配信して行う学習が、「ICT等を活用した学習活動」の例として挙がっています。リアルタイムでつながる同時双方向型と、録画を見るオンデマンド型の両方です。ただし、これは要件2の「学習活動」の例です。要件3の対面指導とは、別の要件です。
成績評価の通知
成績評価の通知には、オンラインについての記述があります。告示の3つ目の要件について、通知は次のように説明しています。学校は「訪問による対面指導やICTを活用したオンラインでの相談・指導等」で、子どもの状況を把握する、としています。
さらに、同じ通知の留意事項には、次のように書かれています。
- 自宅でのICT等の学習を成績評価するときは、原則として、訪問等で定期的・継続的に対面の相談・指導を行うことが望まれる
- 対面での指導が難しい子どもには、ICT等を活用した相談・指導を行うことも可能
これは成績評価についての記述です。 出席扱いの対面指導にオンラインを使えるかどうかは、この通知には書かれていません。
学校・教育委員会等向けリーフレット
令和8年4月の学校・教育委員会等向けリーフレットには、学校からの授業配信を出席扱い・成績評価とした例が載っています。学校は保護者と連携して学習計画をつくり、子どもはオンラインで授業に参加しました。授業のあとは、学級担任が内容を補足し、テストで理解度を確かめています。
配信の工夫の例もあります。画面越しに映るほかの子や先生が気にならないよう、黒板を中心に配信したというものです。
同じ例のポイントには、学校が訪問による対面指導等で子どもの状況を定期的・継続的に把握する、と書かれています。子どもと学校との適切な関わりを保つよう留意する必要がある、ともしています。
オンラインを使いたいときは、学校に相談を
国の資料で確認できたのは、ここまでです。オンライン面談を出席扱いの対面指導として扱えるかどうかは、学校への確認が必要です。前に紹介した小千谷市のように、ガイドラインで考え方を示している地域もあります。
オンラインを使いたいときは、理由と一緒に学校に相談してみてください。「最初はオンラインで顔を合わせ、慣れてきたら対面で」のように、段階を追った形を提案するのも一つの方法です。
保護者が準備すること
対面指導は、学校と家庭が一緒につくっていくものです。学校と相談するときや、実際に会う日の前に、次のことを考えておくと話が進みやすくなります。
学校と決めておきたいこと
- 誰が会うか:担任の先生か、ほかの先生や専門家か
- どこで会うか:家の中、玄関先、学校の別室、教育支援センターなど
- いつ、どのくらいの頻度か:曜日や時間帯、1回の長さ
- 何をするか:学習の確認、プリントのやりとり、雑談など
- 会えない日の連絡方法:当日の体調で予定を変えるときの連絡先
- 学校への報告のしかた:学習の記録を、いつ、どう渡すか
「対面指導の人手がない」「家庭訪問は難しい」と言われることもあります。そのときの伝え方の例は、依頼文の書き方と例文の「学校からよくある返事と、伝え方」にまとめています。
本人の希望を聞いておく
会う前に、本人の希望をできる範囲で聞いておきましょう。「誰となら話せそうか」「どこなら落ち着くか」「何分くらいならよいか」などです。答えたくない様子なら、無理に聞き出さなくて大丈夫です。
学習の記録を用意する
対面指導は、学校が学習の様子を知る機会でもあります。最近の学習の記録や、使っている教材の画面・プリントがあると、話のきっかけになります。本人が見せたがらないものは、保護者から先生に渡すだけでもかまいません。記録のつけ方は、学習記録のつけ方にまとめています。
会った日のことをメモしておく
対面指導の日付、会った人、話した内容を、簡単にメモしておきましょう。前にふれたとおり、出席扱いの日数を、対面指導の日数などを基準に数える考え方もあります。次の相談や、学期ごとの振り返りでも役に立ちます。
家庭訪問を受けるときの工夫
- 場所は話しやすいところで:玄関先やリビングなど、本人が落ち着ける場所で十分です。
- 最初は保護者も同席する:本人が慣れてきたら、少しずつ本人と先生の時間を増やす方法もあります。
- 会えない日は無理をさせない:その日は、保護者と先生で話す形に切り替えてもよいでしょう。その日の扱いは地域や学校で違うので、気になるときは学校に確認しておくと安心です。
本人が会うのがつらいとき
学校の先生と会うことが、今の本人にとって大きな負担になる時期もあります。まずは、本人の気持ちを大切にしてください。
令和元年の通知は、不登校の時期が、休養や自分を見つめ直すなどの積極的な意味を持つことがある、としています。同時に、学業の遅れや進路での不利益などのリスクにも留意するよう書いています。そのうえで、子どもを見守りつつ、不登校のきっかけや続いている理由に応じた支援や働きかけが必要だ、としています。
ここでは、家庭でできる工夫と、学校に相談できることを紹介します。どれも、必ずうまくいくというものではありません。本人の様子を見ながら、できそうなものを選んでください。
小さな形から始める
いきなり「1時間の面談」を目指さなくても大丈夫です。例えば、次のような形から相談してみる方法があります。
- 玄関先で、あいさつだけする
- 5分だけ、好きなことの話をする
- 先生からの手紙やプリントを受け取るところから始める
- 保護者と先生が話しているところに、少しだけ顔を出す
これらを出席扱いの対面指導として扱うかどうかは、学校の判断です。「今はこのくらいから始めたいのですが、いかがでしょうか」と、学校に相談してみてください。
会う相手・場所・時間を変えられないか聞く
前に紹介したとおり、対面指導を行う人は、担任の先生に限られていません。本人が話しやすい相手がいれば、その人にお願いできないか聞いてみましょう。場所や時間帯を変えられないかも、あわせて相談できます。
本人が選べる部分をつくる
会う日時や話す内容の一部を、本人が選べるようにしておくのも一つの方法です。
- 会う曜日や時間を、いくつかの候補から選ぶ
- 先生に見せたいノートや作品を、本人が決める
- 「今日は難しい」と伝えるときの合図を、家族で決めておく
オンラインを入り口にできないか相談する
画面越しのほうが話しやすい子もいるかもしれません。成績評価の通知では、対面での指導が難しい子どもには、ICT等を活用した相談・指導も可能とされています。出席扱いでの扱いは学校の判断なので、オンラインを入り口にできないか相談してみてください。
会えない時期があっても
体調や気持ちの波で、予定どおり会えない日もあります。そのときは、早めに学校に連絡して、次の予定を相談しましょう。会えない日が続くときは、その様子も学校に伝えておくと、学校も方法を考えやすくなります。
対面指導は、自宅学習の出席扱いの前提です。今は会うことが難しく、出席扱いの話が進まない時期もあるかもしれません。それでも、学習の記録は続けておくと、状況が変わったときに相談しやすくなります。
心配なことは、相談窓口にも
本人の様子で心配なことがあれば、スクールカウンセラーなどに相談できないか、学校に聞いてみてください。令和元年の通知も、保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要だ、としています。どこに相談すればよいかわからないときは、文部科学省の不登校に関する地元の相談窓口で、地域の相談先を調べられます。
面談の準備を、とどけ帳で
とどけ帳は、毎日の学習記録から、学校に出す報告書の下書きをAIがつくるアプリです。記録をためておくと、対面指導や面談で学習の様子を伝える材料をそろえやすくなります。
参考資料
- 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」(令和元年通知の別記2と別紙)
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)
- 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)/法令改正の概要(PDF)
- 文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」リーフレット(令和8年4月):保護者等向け(PDF)/学校・教育委員会等向け(PDF)
- 文部科学省「教育支援センター整備指針(試案)」(PDF)(令和元年通知の別添4)
- 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」
- 小千谷市教育委員会「不登校児童生徒の「指導要録上の出席扱い」に関するガイドライン」(PDF)(令和6年9月)