とどけ帳

出席扱いが認められないときは?よくある理由と、保護者ができること

公開日:2026/09/26 更新日:2026/09/26 文:とどけ帳(運営:Qalbra)

学校に出席扱いを相談したら、「難しい」「認められない」と言われた。がっかりしたり、納得できない気持ちになったりするのは自然なことです。

この記事では、文部科学省の通知をもとに、出席扱いが認められないときに考えられる理由と、保護者ができることを整理します。出席扱いの要件そのものは、出席扱いとは?7つの要件と相談の流れで説明しています。

はじめに、大切なことを1つ。出席扱いにするかどうかを判断するのは、学校(校長)です。この記事の方法を試しても、必ず認められるわけではありません。それでも、理由がわかれば、次にできることが見えてきます。

まず知っておきたいこと

出席扱いは「できる」制度です

自宅でICT(パソコンやタブレット、インターネットなど)等を使って学ぶ場合の決まりは、通知の別記2にあります。要件を満たしたうえで、校長が判断した場合に、出席扱いとすることができる制度です。

校長は、要件のほかに、その学習が本人の自立を助けるうえで有効・適切かも判断します。本人が登校を望んだときに、学校に戻りやすい学習かどうかも見ます。今、登校を望んでいるかどうかは問われません。

基準は、地域や学校によって違います

別記2の別紙(Q&A)で、文部科学省は判断の基準について、「一律の基準を示すことはしていません」としています。そのかわり、学校や教育委員会が一定の基準をつくっておくことが必要だ、としています。基準が古い場合は、今の状況に合うよう見直すことも検討すべき、とも書かれています。

そのため、同じような学習でも、地域や学校によって扱いが変わることがあります。ほかの地域で認められた例が、そのまま当てはまるとは限りません。

「今は難しい」と「認められない」は、違うことがあります

「難しい」という返事が、最終的な結論とは限りません。今の時点で要件の一部が整っていない、という意味のこともあります。どちらなのかを、落ち着いて確かめるところから始めましょう。

よくある理由(要件のどれが足りないか)

学校が「難しい」と考える理由は、多くの場合、通知の要件のどれかに関係しています。どの要件の話なのかがわかると、家庭で準備できることが見えてきます。

文部科学省が挙げている「認めなかった例」

別記2の別紙には、文部科学省が教育委員会への聞き取りで把握した、出席扱いとしなかった例が2つ載っています。

  • 学校が家庭訪問などの対面指導を設定したが、家庭の協力が得られず、子どもの状況や学習の様子を十分に確認できなかった
  • 無料のインターネット学習プログラムを使っていたが、学習のねらいや内容がはっきりしなかった

対面指導とは、先生などが子どもと直接会い、学習や自立の支援を定期的・継続的に行うことです。1つ目は対面指導、2つ目は学習の計画についての例です。

要件ごとに見た、考えられる理由

自宅でICT等を使って学ぶ場合(別記2)の要件と、学校が足りないと考えやすい点をまとめました。理由は、通知や別紙から考えられるものです。実際の理由は、学校に聞いて確かめてください。

要件学校が足りないと考えやすい点家庭で準備できること
1. 保護者と学校の連携・協力連絡や面談の機会が少なく、家庭の様子がわからない連絡の方法と頻度を、学校と決める
3. 訪問等による対面指導家庭訪問や面談ができていない。本人と会えていない会う場所・時間・相手を、小さな形から相談する
4. 計画的な学習プログラム教材の中身や、何をどこまで学ぶかがはっきりしない教材の内容と、月ごとの学習計画を見せる
5. 校長が状況を十分に把握家での学習の様子が、学校に届いていない学習の記録や報告書を、定期的に出す
6. 学校外の施設に通えない場合教育支援センターなどに通えるのでは、と考えている見学を検討する。通うのが難しい理由を伝える

表の6にある教育支援センターは、教育委員会などが設ける、不登校の子どものための学びと相談の場です。

2つ目の要件は、ICT等を使った学習であることです。郵送やFAXで届く学習も含まれます。

対面指導が足りないと言われたとき

自宅での学習の出席扱いは、訪問等による対面指導が前提です。本人が人と会うのがつらい時期は、ここが大きな壁になりやすいところです。

別記2の別紙では、対面指導を行う人として、在籍校の先生のほかに、次のような人も想定されています。スクールカウンセラーなどの専門家、教育支援センターの職員、事前に研修を受けたボランティアスタッフなどです。担任の先生だけが行うもの、と決まっているわけではありません。

会う場所や時間、相手を変えられないか、学校と相談してみてください。「最初は玄関先で数分」のような小さな形から始める方法もあります。本人が会うのがつらいときの工夫は、家庭訪問・面談の頻度と準備で紹介しています。

計画や教材がはっきりしないと言われたとき

要件4は、本人の理解の程度をふまえた、計画的な学習プログラムであることです。別紙では、在籍校の年間指導計画に沿った、月ごとや学期ごとの計画が望ましいとされています。年間指導計画とは、学校が教科ごとに、1年間で何をいつ学ぶかを決めた計画です。

教材の名前だけでなく、どの単元を、どのくらいの時間で学ぶのかを示せると、学校も判断しやすくなります。単元とは、教科書の章のような学習のまとまりです。計画のつくり方は、学習計画の立て方で紹介しています。

教育支援センターなどをすすめられたとき

要件6は、自宅でのICT学習の出席扱いについての要件です。基本的に、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられない場合のもの、とされています。

別紙には、不登校が必要な程度を超えて長引かないよう、留意する必要があるとも書かれています。学校外の機関で相談・指導を受けられるよう、段階的に調整していくことも大切だとしています。学校がすすめる背景には、こうした考え方があるのかもしれません。

すすめられた施設に、すぐ通えるとは限りません。見学だけしてみる、通うのが難しい理由を伝える、など、できる範囲で相談を続けましょう。

フリースクールの場合

フリースクールなど学校外の施設に通う場合は、通知の別記1に要件があります。施設は、教育支援センターなどの公的機関が基本です。公的機関に通うのが難しい場合などに、民間の施設も考慮されてよいとされています。

民間施設が適切かどうかは、校長が教育委員会と十分に連携して判断します。そのため、確認に時間がかかることがあります。判断の目安として、国の「民間施設についてのガイドライン(試案)」を参考にすることが望ましい、とされています。

このガイドラインには、学校との情報交換など、学校と施設の十分な連携・協力関係が挙げられています。施設での指導の経過を、保護者に定期的に連絡することも含まれています。施設から学校に、利用日や活動の内容を報告してもらえるか、施設に相談しておくと安心です。

学校や地域に、まだ基準がないとき

前にふれたとおり、国は一律の基準を示していません。学校や地域によっては、基準がまだ整っていないこともありえます。

そのようなときは、教育委員会に出席扱いのガイドラインや基準があるか、学校に確認してもらえないか相談してみてください。自治体によっては、ガイドラインをホームページで公開しています。

学校からよくある返事ごとの伝え方の例は、依頼文の書き方と例文の「学校からよくある返事と、伝え方」の表にまとめています。

理由を聞くときの伝え方

理由を聞くのは、学校を責めるためではありません。お子さんのために、学校と家庭が次に何をすればよいかを知るためです。その気持ちが伝わる聞き方を心がけましょう。

聞き方のポイント

  • 責める言葉を避ける:「なぜ認めないのですか」より、「どの点が難しいか、教えていただけますか」のほうが話が進みます。
  • どの要件の話かを確かめる:対面指導なのか、学習の計画なのか、報告の方法なのかを聞きます。
  • 今の結論かどうかを確かめる:「今の状況では難しい」のか、「この方法では難しい」のかを聞きます。
  • 何があれば検討できるかを聞く:条件がわかれば、家庭で準備する目標になります。
  • その場で答えを求めない:校内での話し合いや、教育委員会への確認に時間がかかることもあります。

使える言い方の例

  • 「ご検討いただき、ありがとうございます。どの点が難しいか、教えていただけますか」
  • 「対面指導や学習の計画など、家庭で準備できることがあれば教えてください」
  • 「教育委員会に、出席扱いのガイドラインや基準はありますか」
  • 「条件が整ったら、改めてご相談させていただいてもよいでしょうか」
  • 「次にお話しできる時期を、決めさせていただけますか」

判断するのは校長です。担任の先生が、校長の考えを伝えている場合もあります。詳しく聞きたいときは、担任の先生に相談して、校長先生も交えて話す機会をお願いしてみる方法もあります。

聞いたことは、メモに残す

面談や電話で聞いた理由は、日付と一緒にメモしておきましょう。誰から、どんな説明があったかも書いておきます。次に相談するとき、何を準備したかを具体的に伝えやすくなります。

記録を続ける意味

認められないと言われると、記録をやめたくなるかもしれません。それでも、学習の記録は続けておくことをおすすめします。

学校が判断するための材料になります

要件5は、校長が対面指導や学習活動の状況等を十分に把握することです。別紙の「認めなかった例」の1つ目も、子どもの状況や学習の様子を十分に確認できなかった例でした。家での学習の様子が伝わっていないことが、理由の一つになっている場合があります。

記録は、日付・教科・時間・内容・本人の言葉があれば十分です。書き方は学習記録のつけ方にまとめています。学校にまとめて出すときは、学習状況報告書の書き方を参考にしてください。

出席扱いとした例でも、記録が使われています

文部科学省の学校・教育委員会等向けリーフレットには、出席扱いとした例が載っています。教育支援センターの例では、学校は学習計画の実施状況やWeb教材の学習履歴などをもとに判断しています。学習の記録は、こうした判断の材料になりえます。

成績評価は、出席扱いとは別に判断されます

令和6年8月の成績評価の通知は、欠席中に行った学習の成果を成績評価で考慮できる要件を示しています。そのうえで、出欠の扱いは、引き続き令和元年の通知にもとづくとしています。つまり、成績評価と出席扱いは、別の決まりで判断されます。

成績評価の要件の一つは、学校が保護者等を通じて、学習の状況を定期的・継続的に把握することです。家庭の記録は、この点でも役に立ちます。出席扱いとは別に、成績評価についても学校に聞いてみてください。

教育委員会・教育支援センターへの相談

学校と話しても先が見えないときは、教育委員会などに相談する方法もあります。ここでの相談は、学校の判断をくつがえすためのものではありません。制度や地域の基準を知り、次の一歩を一緒に考えてもらうためのものです。

教育委員会に相談できること

令和8年4月の保護者等向けリーフレットは、出席扱いや成績評価の判断は学校が行う、としています。そのうえで、問い合わせ先として、在籍する学校と、その設置者である教育委員会等を挙げています。市立の学校なら、その市の教育委員会です。

令和元年の通知も、教育委員会に、保護者への相談窓口の周知や相談対応などを求めています。例えば、次のようなことを聞いてみるとよいでしょう。

  • 出席扱いについて、地域のガイドラインや基準があるか
  • 家での学習について、どんな準備をしておくとよいか
  • 教育支援センターなど、利用できる場所や支援はあるか

相談窓口の名前は、自治体によって違います

教育委員会の相談窓口の名前は、自治体によってさまざまです。文部科学省の「地元の相談窓口」のページには、いろいろな名前が並んでいます。例えば「教育相談室」「教育相談窓口」「教育支援センター」「教育センター」「適応指導教室」などです。ここに挙げた名前は一例です。適応指導教室は、教育支援センターの別の呼び名です。平成21年の文部科学省の通知でも、「教育支援センター(適応指導教室)」と書かれています。

どこに聞けばよいかわからないときは、文部科学省の不登校に関する地元の相談窓口を使えます。都道府県を選んだあと、市区町村を選ぶと、その地域の相談先へのリンクが見つかります。市区町村が見つからない場合は、都道府県の相談窓口を確認するよう案内されています。

教育支援センターに相談する

教育支援センターは、通う場所であると同時に、相談の場でもあります。国の教育支援センター整備指針(試案)では、センターが保護者に助言・援助を行うものとされています。学習指導を含む相談・指導を行う場です。

同じ指針では、家庭訪問による相談・指導も、実情に応じて行うことが望ましいとされています。令和元年の通知も、教育支援センターが通所を希望しない子への訪問型支援を担うことに期待を示しています。ただし、実際にどんな支援があるかは、センターによって違います。

別記2の別紙では、教育支援センターの職員も、対面指導を行う人として想定されています。通うのが難しい場合も、センターに相談してみる価値はあります。

フリースクールなど別の道

出席扱いは、学校外で学ぶ子どもの努力を認めるための制度の一つです。出席扱いにならなくても、お子さんの学びや居場所がなくなるわけではありません。

令和元年の通知は、一人一人の状況に応じて、多様な教育機会を確保する必要があるとしています。例として、教育支援センター、不登校特例校、フリースクールなどの民間施設が挙がっています。ICTを活用した学習支援も、その一つです。

場所どんなところか出席扱い・成績評価との関係
教育支援センター教育委員会などが設ける、学びと相談の場別記1で、学校外の施設は公的機関が基本とされている
フリースクールなど民間施設民間が運営する、相談・指導の場公的機関が難しい場合などに考慮されてよい。校長が教育委員会と連携して判断
校内教育支援センター等学校の中の、教室とは別の場所成績評価は、学校に登校しているものとして行うことが可能
学びの多様化学校不登校の子の実態に配慮した、特別の教育課程を組む学校その学校(本校・分校・分教室など)で学ぶ選択肢。通い方や手続きは設置者に確認

表の3行目は、令和6年の成績評価の通知によるものです。教室に行けなくても、校内教育支援センター等で先生などから相談・指導を受けている子が対象です。学校にこうした場所があるか、聞いてみてもよいでしょう。

学びの多様化学校は、通知では「不登校特例校」と呼ばれていた学校です。特別の教育課程とは、不登校の子の実態に配慮して組まれた、学ぶ内容や時間の計画です。独自の教科を新しく設けた学校などもあります。文部科学省の学びの多様化学校の設置者一覧で、どこにあるかを調べられます。

どの道を選ぶかは、お子さんの気持ちと体調を第一に考えてください。通知も、本人の希望を尊重したうえで、さまざまな関係機関を活用して社会的自立を支援するよう求めています。出席扱いは、そのための手段の一つです。

記録と相談の準備を、とどけ帳で

とどけ帳は、毎日の学習記録から、学校に出す報告書の下書きをAIがつくるアプリです。記録をためておくと、次に相談するときの材料をそろえやすくなります。


参考資料